大阪大学接合科学研究所のスマートプロセス研究センターでは、産業界や他大学との共同研究や人材交流を活発に行っている。現在、数々の共同研究成果が実を結び、実用化段階に入っている。次世代のものづくりへの貢献を目的に03年に設立され、今年で6年目を迎えた同研究センターでの産学連携のあり方やこれまでの成果、今後の方向性などについてセンター長の内藤牧男教授に聞いた。
− スマートプロセスとは
「スマートプロセスは、溶接・接合を中心とした『先進的なものづくり』のことを指している。造船や橋梁、建築鉄骨のような従来型の重厚長大のものづくりに対し、マイクロやナノレベルの超微細加工、有機物や生体分子を含めた異材接合、高機能界面創製などをキーワードに、新たな技術や事業を創るための先端的基盤に資することが大きなテーマとなっている。当研究センターでは、環境とエネルギーを重点テーマと位置づけ、新たなプロセス開発の研究活動を行っている。微細化・ファイン化、省エネなどをテーマに、新たな接合工程の開発を総称して、スマートプロセスと呼んでいる」
− 主な研究分野の構成は
「研究分野としては、@レーザ、超微粒子などを用いたスマートビームプロセス学分野Aナノ粒子を最適制御し材料表面の高次機能化を図るスマートコーティングプロセス学分野Bナノ・マイクロ構造の自由造形による高次接合を開発し、新機能創製を図るナノ・マイクロ構造制御プロセス学分野Cスマートプロセスの接合に関する信頼性評価・予測システムを構築する信頼性評価・予測システム学分野D環境にやさしいプロセス開発を目指すスマートグリーンプロセス学分野で構成されている。07年から栗本鐵工所の寄付によって、新たに多元ハイブリッドプロセス技術寄附研究部門が加わった」
− 活動内容は
「溶接・接合の研究の中心となる国立大学法人唯一の全国共同利用研究所として、大阪大学接合科学研究所では、全国の大学、研究機関から年間約170人の共同研究員を受け入れている。当研究センターでは、昨年度はこのうちの約70人が共同研究員として活動している。また、研究成果を、毎年6月に開催する『産学連携シンポジウム』で産業界に向けて発表している。さらに、国際シンポジウムも定期的に開催し、国内外に向けたスマートプロセス研究の拠点形成に努めている。今年は10月31日に阪大構内の荒田記念館で『アジアスマートプロセスシンポジウム』を開催する」
− 産学連携による成果は
「産学連携を促進するために、当研究センターの各分野が、それぞれ産業界と連携して研究コンソーシアムを推進している。平成19年度には、フォトニックフラクタル研究会、粉体接合プロセス研究会、八尾レーザ微細加工研究会の3研究会を組織した。産業界への技術移転をはじめとして、共同研究プロジェクトや国プロジェクトの立ち上げなど、活発な産学連携を進めた」
− 今後の取り組みについては
「今年で設立から6年目を迎え、研究発表の場などを通じて産業界とのつながりや国際的なネットワークが構築され、萌芽的だった研究の数々が実を結んできた。我々としては、新たな技術シーズの開発に向けた研究を実用化へと発展させ、今後も継続的に発表していく考えだ。
溶接・接合を含む既存の科学技術が成熟化する一方、材料加工技術において他の追随を許さないブレークスルーを興すことが求められている。当研究センターでは、その使命を認識し、新たな発想をもってスマートプロセスに関する基礎学問の構築と研究開発に取り組んでいく」
大阪大学接合科学研究所
スマートプロセス研究センター教授 内藤 牧男 氏
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